山のスタイル

 

ピークハント主義

山との付き合い方、登山のスタイルは人それぞれです。花を求めて登る人、同じ山を年に何度も登る人、様々な写真の被写体を求めて山に登る人、○○百名山というくくりでいろんな百名山を登って回る人などなど。それぞれがそれぞれの目的、スタイルで山とふれ合うことは本当に素晴らしいことだと思います。
そこで、私のスタイルはというと「できるだけ多くの山に登りたい」「メジャーな山から超マイナーな山まで“山”と認められる山にはとにかく登りたい」というとてもわかりやすくわがままな理由のもと、山頂をハントするいわゆる「ピークハント」スタイルです。エリアも、標高の高い低いも、ルートがあるなしも問わず、山と認められれば登ります。名前がなければ徹底的に確証が得られるまで調査します。「これが山?」とか「よくもまあこんなルートもないやぶ山に」とか人に呆られてもおかまいなしに登ります。それも時間が許す限り登れるだけ。ですから、1日に7~10数座と登って回るのが普通です。こんなスタイルですからまれにピークハント仲間と登ることもありますが、ほとんどの山行は単独です。

 

山との出会い

私は、はじめからピークハントを目的とした登山をしていたわけではありません。そもそも山との出会いは、30歳から40歳までの10年間、夢中になっていたトライアスロンのオフシーズンの練習の延長線です。山岳マラソンやトレイルランをやっているうちに山の魅力に取り付かれ、とうとうトライアスロンよりも面白くなり本格的に山に魅せられてしまいました。しかし、最初の頃は、月に1回、ガイド本に紹介されているメジャーな山を中心に山を楽しむ程度でした。
そんなある日、滝澤昭正氏執筆の「福岡県無名山301山」という本と出会いました。この本を頼りにいくつか近所の山を登るうちに、身近なところに今まで気づきもしなかった無名山や低山があること、そして福岡県に301も山があることに気づきました。そこで自分は今までにいくつの山を登ったのだろうと記憶の糸を辿り、数えてみると150座もありません。福岡県には301もの山があるのに(本当はその3倍近くあります)その半分も登ってないことにショックを受け「生涯どれだけの山に登れるか」「どれだけいろんな山と出会えるか挑戦してみよう!そんな登りか方をしてみよう!」と決め、今日に至っているわけです。

 

私の山の自己基準

せっかくピークハントするのに「山」と断定する基準が曖昧ではいけません。
そこで自分なりの自己基準を下記のように設けました。(これはあくまでも私個人の基準ですのであしからず)
◎国土地理院発行の地形図に明記されている山
◎地形図には明記されていなくても郷土史や古地図に山名が明記され、所在が特定できる山
◎城址や山城、砦跡の山でその姿が山と確認でき、別称○○山とか名前のあるもの

◎地形図に名前がなくても地元で愛され名前がある山(俗称を含む)
◎国土地理院がネットで公開している「点の記」に山名が明記されている山
◎上記のいずれかに該当し、その姿が標高にかかわらず明確に山と思われるもの
◎まれに長い稜線上に点在するピークにも名前がある場合がありますが、この場合も命名者の方に敬意を表して山と認定しています

こうしたいくつもの条件を合わせて断定していますが登ったけど今だ山名が判らない山も多々あります。

山イメージ

 

埋もれた山を、忘れ去られた山を探す方法

「暮らしの山」「遊び場の山」「遠足の山」だったりした多くの里山が時代と共に様々な理由で忘れられようとしています。昔は、地形図に記載されていたが近年、消えて行く山も多いようです。こんな山を掘り起こしながら登っていくのも私のスタイルのひとつです。郷土史や古地図、そして地形図上の地形で目星を付け、あとは現場で聞き込みを行い(ルートを教えてもらえればラッキーですが、大抵の場合は、地形図でルートを想定して)登ります。もちろん可能な限り地主さん等の許可を得て。また、現場で偶然に見つける山もあります。そんな時もルートと山名の聞き込みを行い登ります。特に山名はできるだけ複数の人に聞き確証を得ます。どうしても現場で判らない場合は、後日地元自治体等に問い合わせます。

 

私のピークハント必要アイテム

下記は、四季を通じての必要なアイテムです。(日帰りバージョン)
◎コンパス ◎地形図 ◎筆記用具と山行ノート ◎デジカメ ◎携帯電話 ◎水 ◎雨具 ◎行動食 ◎救急セット ◎ホイッスル◎テープ(目印用) ◎軍手 ◎タオル ◎ストックなど
<夏場専用アイテム>
◎虫除けスプレー ◎防虫キャップ ◎防虫ジャンパー(暑い!けど我慢)

ザックは低山をいくつも登ってまわる場合は20L、脊梁地帯や縦走をする際は40L、テント泊などの場合は60Lと使い分けています。また食料は、低山を登ってまわる場合は基本昼食は食べず歩きながらや車を運転中に簡単な補給食のみで済ませます。少しでも多くの山に登りたいためです。もちろん、縦走や深い山に入る時は最低限のものは持参しちゃんと食事はします。
また、山には林道走行用に改造したジムニーで行きます。なるべく登山口や取り付きの近くまで楽にアプローチできるようにです。以前は、ランクルで行っていましたが国内の林道や農道にはサイズが大きすぎて思った所まで行き着くことができず3年前に乗り換えました。車には、ノコと鉈、スコップを装備していて今までに何度も倒木や落石の排除や凍結路面からの脱出に活用しています。

 

アナログ主義からハイブリッド主義へ

私がピークハントをはじめた頃は、無謀にもコンパスも地形図も持たず入山していました。明確なルートがある山ならいざ知らず、登る対象がやぶ山が多くなるにつれ、迷ったり山頂に着けないこともしばしばでした。そこでちゃんとした読図力を養い、7~8年前から必ずどんな低山でも地形図とコンパス、そしてテープを持参するようになりました。今でこそそれなりの読図力はつきましたが、それは数々の失敗の積み重ねでついたようなものです。GPS頼りに山に登ると地形や位置に対する想像力と周囲への観察力がなくなるように思われ、地形図とコンパス利用のアナログの場合、紛失しない限りは安全ですが(もちろん読図力がないとだめです)、GPSのみに頼った場合、バッテリー切れや電波が悪い地形に入った場合、さらにGPS自体を紛失した場合はかなり危険な状態になると思います。仮に地形図とコンパスを持参していてもそれから地形図を広げて現在位置を確定するのは大変です。ここまでが、YAMAPの登場が登場するまでの私の考えでしたが、YAMAPに登録、利用してみるとその便利さと安定感にすっかり魅了され、今ではYAMAP利用派、つまりデジタル肯定派となりました。ですが、やはりコンパス、紙の地図とYAMAPを時々見比べながら使用しています。つまり、結論的には今はコンパス、紙の地図(アナログ)とYAMAP(デジタル)のハイブリッド的利用をしています。両方を上手く活用すれば、スマホのバッテリー切れや紛失、データの異常等の際にも対応出来るからです。

 

山での失敗とエスケープルートの確保

私の山での失敗は、それこそ山のようにあります。内容を分析すると、地形図とコンパスとテープを持参しなかったためか、読図力がなかったための失敗、そして一番多いのが思い込みによる失敗です。地形図とコンパスを持っているにもかかわらず現在地や登ってきた尾根筋を『間違った思い込み』で解釈してコースミスした例が多々ありました。最近では、怪しいと思ったら必ず客観的に考え、もし現在地がここではなかたらといろんな視点から考えてみたりします。特にルートもない山を登ることが多いので迷いそうな地点(たとえば広い尾根とか沢筋ばど)や、はっきり現在地が判る地形の場所などを事前に地形図に書き込みコースミスを極力防ぐ努力はしています。また、単独で登ることが多いため深い山域では、エスケープルートも事前にチェックしています。

 

山頂表示について思うこと

福岡県内の特に「福岡無名山301山」で紹介されているような山々(一部、佐賀、大分の山でも見かけますが)の山頂を訪れる際に、いつも気になるのが山頂の木々にぶら下がったいろんな山の会の山頂表示のプレートです。(私は山頂表示は付けません。)多いときには6つも7つも風に揺れています。競い合っているのか記念のためなのか、これを見ると私は正直、見苦しさを感じます。基本、山頂表示は一番最初に建てた方に敬意を表してひとつでいいのではと思います。

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